【異文化交流を通じて「これからの自分」を考える】兵庫県立御影高校でTRYプロジェクトを実施しました。

4月2日〜5日までの4日間、兵庫県立御影高校新2年生に向けて、TRYプロジェクトと題した授業を担当させていただきました。このプロジェクトは今年度よりスタートしたものであり、御影高校の先生方にとっても、生徒のみなさんにとっても、Colorbathにとっても新たな”TRY”となりました。

(レポート:Colorbathスタッフ 渋谷)

1日目:整える・受け取る

初日のテーマは「舞台を整えること」と「刺激を受けること」。
午前中はアイスブレイクや個人ワークを通じて、リーダーシップや自分が貢献できることを考え、自分たちで学んでいくための舞台を整えていきます。
アイスブレイクでは身体を使って、個人ワークでは頭を使って、自分が人に貢献できることを友達と一緒に考えていきます。

「このクラスは誰もがリーダーになれるということを再確認できた」という振り返りが印象的でした。
また、実際にネパールやマラウイに行ったことのあるColorbathメンバーによる現地語講座も行われ、挨拶の文化の違いを感じながらも、積極的に吸収していきます。
午後からはいよいよネパール、マラウイとのオンライン交流会を実施。
3〜4名が1グループとなり、協力し合いながら交流をしていく生徒たち。話すスピードや独特の訛りに苦戦しながらも、積極的にコミュニケーションを図ります。

途中に実施したワークでは「家族」「友人」「お金」「時間」「誇り」の中で大切にしたい優先順位をつけ、なぜそれを選んだのかを話し合いました。
オンライン交流を通じて”英語”以上に文化や他者理解などさまざまな学びのある時間だったと感じました。
1日目終了後、生徒さんたちからは
「日本のアニメや漫画を知ってくれているのは嬉しかった。自分たちも相手の国のことを知っていきたい」
「明日の交流に向けて今日のよりから早速準備を進めます!」
など、前向きな姿勢、言葉がたくさん教室にありました。

2日目:伝える

2日目のテーマは「伝えること」。
以前より取り組んでいた『ネパールコーヒーを日本の高校生に広めるためには?』という問いに対する自分たちの納得解を、ネパールの人やマラウイの人に伝えます。
自宅での準備やオンラインの参加も可としていましたが、朝から学校にはたくさんの生徒さんが。
職員室を訪ね、教室を使いたいと主体的な動きがたくさんありました。
自分たちの商品企画を改めて見つめ、「伝える」ための準備をしていきます。

午後にはまずネパールの人らへのプレゼンテーション。
午前中に作成した動画を用いて発表をしたけれど、情報を詰め込み過ぎてしまったり、補足の言葉が出てこなかったりと、彼ら/彼女らの目指していた「伝える」を果たすための課題を感じたようです。
ネパールの方がオンライン上から退出するとすぐ、ある生徒さんから「もう一回、今話した人にプレゼンさせてほしい!」との声が。
成功体験以上の価値がそこにあったように感じます。
その後担当の先生から「伝える」「伝わる」ためのアドバイスをいただき、休憩時間も使ってすぐにアップデートの作業が始まりました。
休み時間の10分間、直接は見れていませんが、次に行ったマラウイの人への発表を聞くとその10分間の頑張りを感じます。

我々がこのTRYプロジェクトでやっているのは、言ってしまえば海外とオンラインで繋ぐ機会を提供しただけ。
しかしそこから何かを掴み取り、行動して、自分の人生をより濃く、よりプラスに変換していく生徒のみなさんの姿に心打たれました。

3日目:濃さを作る・深める

3日目のテーマは「濃度を高めること」と「深めること」。
オンラインで交流をするのはこの日が最後。
最後は生徒の皆さんを信じて、こちらから目的やテーマを設定することなく「20分間のフリートーク」としました。
これまでの2日間、テーマに沿った交流は行いましたが、全てがフリーとなるのは今回が初めて。これは当初から予定していたものではなく、これまでの動きを見て急遽朝に決めた内容です。大人にとってもまさにTRYな実践です。
相手の国について知りたいこと、相手の価値観について知りたいこと、自分たちが伝えたいこと、さまざまな話題が活発に飛び交います。

多少の音声等のトラブルはあったものの、どのチームも盛り上がりを見せ、終了後の彼らの表情は疲労感はあるものの、満足感は高かったように感じました。
振り返りでは「単語がとにかく大事」「リスニングの重要性を感じた」や、「ジェスチャーが大切」「リアクションは大きめがいい」、「見た目少し怖かったけど話すととても優しい」「みんな家族を大切にしていた」など、たくさんの視点からの言葉が出てきました。

「交流を通じて多角的な発見をする」というこのプロジェクトの価値が少しずつカタチになって現れます。
一日の最後には、2030年のSDGsの目標を踏まえ、2050年では何を目標とするのかを考えました。
この3日間でネパール/マラウイという国の存在のみでなく、「ネパール/マラウイの〇〇さん」が彼らの中に存在しているからこそ、議論にも厚みがありました。

4日目:これからの自分を考える

最終日のテーマは「これからの自分を考えること」。
まず最初は、前日から準備していたSDGsに関連した2050年のゴール設計を、ポスターセッション形式で発表していきます。
何が”安全”なのか、本当の”平等”とは何か、質問や意見が出るたびにより考えが深まっていきます。
「教育」をテーマとした班では、教育に対する”不満”と”不足”を分けた議論が展開され、「安全な水」をテーマとしていた班では、水に関するアジェンダの優先度と経済発展の必要性が議論されました。
「世界のために何かやりたいと思って入学したけど、1年間の学びを通して、それまで全く知らなかったマラウイやネパールが自分のセカイに加わってきました」という生徒さんの言葉が印象的でした。

最終セッションは「1分間スピーチ」。
これは入学時にも行われたもので、「自分のこれから」を一人ひとりが語ります。
トップバッターはこのTRYプロジェクトをずっと支えてくださった御影高校の先生から。
「先生」として語るのではなく、「1人の人間」として、御影高校での学びを通じた変化を語りました。

それに続く形で生徒の皆さんも、一人ひとりが自分の言葉で、今の自分・これからの自分をありのままに語ります。
以下、生徒の皆さんの声を一部紹介させていただきます。

国際社会という認識が1年間で変わった気がします。自分の中でセカイというとこれまではアメリカやヨーロッパを指していたけど、そこに小さな国も加わってきました。
昨日ネパールの人がSDGsという言葉を知らなかったのがとても衝撃的でした。世界で目指す一つのゴールだと思っていたけど、これが現実なんだと感じました。言っているだけでなくて行動が必要だと強く感じました。だからこそ自分は現地に必ず行きます。そこで行動を起こします。
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いま自分は、やりたいことは決めてないし、見つかるかもわからないです。
けれど、この3日間でのオンライン交流で、外国の雰囲気を感じて興味を持ちました。やりたいことはわからないけど、外国に関わるのもいいかもと感じました。
夢とか目標ではなく、まずは現地の人と関わって、自分の仕事を決めるのに活かしたいと思います。—————————————————
ワークを通じて、趣味を得意に伸ばしたいと考えるようになりました。
自分は絵が好きだからそれを得意にして、言語の壁を越え、文化や価値観も伝えられるデザインを作りたいと思います。
それが自分ができる国際貢献で、自分がやりたいと思うカタチです。

とても暖かい空気の流れる素敵な空間で、思わず目頭があつくなるColorbathメンバーも。
スピーチを終えた生徒さんらの表情が、この4日間の価値を物語っていたように感じます。
4日間一緒にプロジェクトを作ってくださった御影高校の先生方、生徒の皆さん、ネパール、マラウイの方々、本当にありがとうございました。