つむぐ、Colorbath #03 Colorbathの”教育” – ヒトづくり事業にせまる

こんにちは、ライターの十文字 樹(じゅうもんじ たつき)です。

「Colorbathっていったい何をしている団体なのか?」
「何のために活動しているのか?」

そんな、私自身の疑問から始まったインタビュー企画「つむぐ、Colorbath」。

前回はWeb交流プログラム「DOTS」の話を通じて、Colorbathの価値観に迫りました。

今回は、「DOTS」が含まれるColorbathの事業領域「ヒトづくり事業」について、他のプロジェクトについても目的や内容を聞いていきたいと思います。

Colorbathカレッジ

Colorbathカレッジとは?

Colorbathには大きく7つのプロジェクトがあります。そのうち、前回はDOTSについてお二人に尋ねました。

今回は、Colorbathのヒトづくり事業である「Colorbathカレッジ」と「フィールドワーク」について、椎木さんにうかがいます。

はじめに、Colorbathカレッジはどのようなプロジェクトなのでしょうか。

Colorbath CCO・椎木睦美

椎木:

2018年にこれからの教育の在り方をテーマに、「考える教育」というイベントを実施したことから始まりました。

その時は、海外のアクティブラーニングについての実態を経験者から話してもらい、日本の事例と比較しながら、「生徒主体の教育とは何か」について参加者の方々と対話を深める場づくりを行いました。

他にも、「働き方」をテーマに、海外で活動しているNGOや世界的な大企業で働いている方々をゲストとしてお招きし、これからの自由な働き方について議論するイベントを開催したこともあります。

コロナ禍以降は、オンラインイベントに切り替え、お金やキャリア、女性の働きかたなどをテーマにした少人数制の座談会を行いました。高校生から社会人まで、いろんなバックグラウンドを持つ人が参加してくれています。

Colorbathカレッジでは、様々な背景を持つ人が同じテーマについて語り合う場のようです。大学の対話形式の授業のような雰囲気でしょうか。

そのテーマは「教育問題」から「生き方」に至るまで幅広いようです。

続けて、どのような想いからカレッジをつくろうと思ったのかをたずねました。

Colorbathカレッジの目的

椎木:

人生において、そのライフステージや環境の変化によって、付き合う人や関わる人が変わっていきます。

しかし、年齢を重ねるにつれ、職場や生活環境などが定着し、自分がいる環境以外の新たな人と繋がる機会が少なくなっていくことが現実だと思います。

そこで、日常生活の中で関わることがない人と話し、つながるきっかけをこのカレッジでつくりたいと思いました。

またイベントの「テーマ」に興味を抱いて参加した人が、様々なバックグラウンドを持った人の意見を聞くことにより、自分の「テーマ」に対する見方や価値観が変わっていく。

そして、時に、自分の「知らない」ことや「興味関心がなかった領域が実は楽しいこと」に出逢うことができる。

そんな場を生み出したいと思ってはじめました。

椎木さんは、「マラウイでの生活経験から、一つ一つの生活用品に対するありがたさや現地の人が支え合いながら生活をしていく背景にふれたとき、人生が豊かになった」と言いました。

普段何気なく使うものや関わっている人に対して、特別に意識することはあまりないかもしれません。そして、自分の興味が限定的になると、考え方や捉え方にも偏りが出てきてしまいます。

しかし、自分とは違う視点を知ると、世界が一気に広がって見えてきます。

そんな「知らないことを知るきっかけの場」としてColorbathカレッジは誕生しました。

オンラインイベントとしての開催も行っているので、家から世界をひろげる絶好の機会になりそうです。

フィールドワーク

続いて椎木さんがディレクターをしているもう一つの事業、「フィールドワーク」について聞いていきます。

フィールドワークとは?

椎木:

これまでに、ネパールとマラウイを訪問国として合計4回実施しました。

事前にインターネットや大学を通して参加者を募集。参加者に対する事前研修や参加者同士の交流会を行ったのち、10日から2週間ほど現地に滞在するプログラムを行っています。

フィールドワークの前半では、一般的な観光ではなかなか行くことのできない現地企業や大使館などに訪問し、現地のリアルにふれていきます。

また、このフィールドワークの特徴は、後半部分の予定を事前に組み込みすぎず、自由度の高いスケジュールを組んでいることです。

参加者とのコミュニケーションをしっかりとりながら、現地に滞在する中で見えてきた「自分自身の興味・関心ごと」や「要望」に合わせた行動ができるように余白を設けています。

確かに、企業や大使館にはよほどのつながりがない限り話を聞く機会はありません。

海外ではなおさらのことです。私自身、アフリカに行ってもなにもできないまま何週間も過ぎてしまった経験があります。

吉川さんや椎木さんがいることで、確実な現地とのつながりはもちろん、そこから新しい企業と関係をつくることも不可能ではないようです。

しかし、このプロジェクトは椎木さんにも負担が大きくのしかかりそうですが、どういう思いで始まったのでしょうか。

はじまりの思い

椎木:

青年海外協力隊での経験がきっかけにあります。

はじめてマラウイに行くとき、私の身近な人でマラウイはもちろん、アフリカへ行ったことがある人もいませんでした。

もし、そんな人が身近にいれば、この人に現地のことを聞いてみよう!と、行動が起こしやすくなると思うんです。そして、なによりも安心感がありますよね。

そんな風に、いま私が取り組んでいるフィールドワークは、自分があのとき「あるとよかった」と思う、「知らない世界を身近に感じるきっかけづくり」を行っています。

アフリカやアジアに興味をもっている人や現地に行ってみたいと思っている人たちに、ほんの少しでも現地とつながる抵抗感をなくしていければと思っています。

マラウイで井戸の水をくむ参加者

たしかに現地経験者がいれば、現地の人々との関係性をつくりやすくなります。

一方で、椎木さんはインタビュー中に、「私は現地で同行しているときに、あえて参加者と行動を共にしないときもあるんです。笑」と言い出しました。

「現地のことをよく知っている私がそばにいると、日本人とばかり話をしちゃって…。現地ガイドさんや現地で出逢った人々と自らコミュニケーションをとりながら、深めたり、疑問を解決していってもらいたいな、と思っているので。」と。

参加者のサポートをしながらも、やはり自分の肌で体験してほしいと、椎木さん自身の経験から考えているそうです。

椎木さんにとってのヒトづくり事業

ご自身の経験から「ヒトづくり」を実施している椎木さん。一方でプロジェクトを冷静に見つめているようでした。

事業運営について

椎木:

色々なことをこれからもプロジェクトとして企画していきたいですが、実施していくには「人材・環境・資金」のバランスが取れることが不可欠です。

またプロジェクトの幅を広げすぎても、ひとつひとつの本質が薄くなってしまっては意味がありません。

なので、時には団体の状況に合わせて選択と集中を行い、プロジェクトの幅を絞ることも必要だと考えています。

様々な体験を生み出すことも教育だと捉えると、その幅はどこまでも広げることができてしまいます。

そのため、Colorbath全体の状態を見極め、どのようなフェーズにあるのかを考えることも椎木さんの役割だと言います。

Colorbathのテーマとして、「みえる世界をひろげる」という考え方がありました。そんなテーマに対して、一つ一つのプロジェクトを通じて様々な角度からアプローチが行われているようです。

フィールドワークの参加者と話す椎木さん

次回は、Colorbathのソーシャルビジネス的な一面について、ディレクターの吉川さんにお話を伺います。

「ヒトづくり」のプロジェクトを担当する椎木さんと、「コトづくり」のプロジェクトを担当する吉川さん。

双方の見方を知ることで、Colorbath全体の動きが見えてくるのではないでしょうか。