■SDGsアクションプログラムの概要について
特定非営利活動法人Colorbath(以下、Colorbath)は、2021年よりNTTコム エンジニアリング株式会社(以下、コムエンジ)と事業連携を行い、社会課題解決に資する『SDGsアクションプログラム』を共創しています。
こちらのプログラムでは、社会課題の発見と解決プロセスをワークショップ等で学習・経験し、実際に現地へ渡航していただきます。現地では、Colorbathが行っている雇用創出や保健衛生事業、教育事業の活動を肌で感じていただき、それらの経験を新規事業案として個人・チームが一体となり発展させる一連の取り組みです。
コムエンジ内には、”20%を限度に本務以外で、自己及び事業の成長につながるチャレンジを促進する”仕組みがあります。このことも1つの要素となり、コムエンジでは、今回ご紹介する『SDGsアクションプログラム』を始めとし、他の活動に自主的に参加される社員が多いそうです。こちらの記事では、コムエンジのみなさまに実施したインタビューを通して、コムエンジとColorbathが共創する『SDGsアクションプログラム』について、お伝えします。
コムエンジのSDGs推進室室長を務める吉田さんに、『SDGsアクションプログラム』についてお話を伺いました。吉田さんは、1963年に岡山市で誕生し、現在はコムエンジでSDGs推進室 室長として、社内のSDGsの達成に資する事業の展開について日々奮闘されております。こちらの記事でご紹介させていただく『SDGsアクションプログラム』は、コムエンジの中でもSDGs推進室が主導となりColorbathと協働で社内外に向けた取り組みを実施されています。
写真:コムエンジ SDGs推進室 吉田さん
『SDGsアクションプログラム』では、Colorbathと連携・協働し、ネパールやマラウイといった、いわゆる途上国が抱える課題を解決するような新規事業の構想と実現を目的に実施されています。こちらのプログラムでは、参加される社員をネパール、マラウイ各々の国に特化するチームに分散し、それぞれのチームが新規事業の構想と実践に向けて取り組まれています。こちらのチームは、双方13名以下の少ないメンバーだそうです。『SDGsアクションプログラム』の取り組みの中には、定期的に開催される国内でのチームミーティングやワークショップと現地渡航の2つのフェーズがあります。これらのワークショップや現地渡航で得られた経験を新規事業構想に活かして改善されるそうです。
■ネパールチームの活動
ネパールに特化したチームは、現在ネパールが抱える深刻化し続けるゴミ問題の解決に向けた新規事業の創発に取り組んでいます。ネパールの中でも、特にカトマンズのような都市部やエベレスト地域といった観光地でのゴミの増加は、環境に多大な影響を与えています。現在のネパールは、街中の街路や河川などにゴミが散乱し、その散乱したゴミを処理する設備も機能しているとはいえない状況にあります。街路にゴミが散乱することで、大気汚染につながる。河川にゴミが散乱することで、水質汚染につながる。そして、これらのゴミ問題は、ネパール地域住民の感染症の発生に繋がります。このゴミ問題を解決する事で、ネパールの土壌や水質汚染を防ぐことができ、感染症発生の抑制にも繋がります。ネパールに特化したチームは、ネパールの自然と地域の未来を守るため、ゴミ問題の解決の糸口を日々探っています。
写真:ネパールの夏のゴミ山
■マラウイチームの活動
一方、マラウイに特化したチームは、国内教育の質向上に力を注いでいます。このチームが教育に力を入れる理由は、教育の質が高まることでマラウイの経済発展への促進に直結することに着目しています。現在のマラウイは、教育水準が未発達傾向にあるため、算数の計算問題を指計算で行う子どもが多い。マラウイチームは、改善された教育を受けた地域住民が増えれば、マラウイの国全体での課題解決能力が高まることに着眼し、マラウイに生きる人たちが社会問題を認識する力やそれに対抗する力を獲得することにつながると考え、教育に焦点を当てた新規事業開発に取り組んでいます。
現在、こちらのチームが実行を計画している取り組みの一つとして、『マラウイの大学生と企業をつなぐビジネスコンテストの開催』が検討されています。このビジネスコンテストは、マラウイ国内の若い年代で才能を持つ学生と地元企業と出会い、地域社会に貢献する新たなアイデアやプロジェクトが生まれることが期待されています。
写真:マラウイの学校での現地活動
■SDGsアクションプログラムの学びと変化
吉田さんは、『SDGsアクションプログラム』に参加される社員の方々に対して、社会課題の解決を目的とした様々な出会い、取り組みを通じて、新たな気づき、発想の転換、挑戦することを楽しみ、自己の成長に繋げてほしいという想いがあるそうです。また、吉田さんはコムエンジのSDGs推進方針では、「夢×人×技術力」をもって、自然が豊かで、全ての人が幸せになれる未来づくりを目指していることを、社内や社外向けに発信していると伺いました。
吉田さんは、『SDGsアクションプログラム』の活動の中で、実際に社員の方々の変化を感じる時があるそうです。参加する社員の方々は、このプログラムで「たくさんの初めて」を経験することで、「物事の捉え方が変わる」、「自分事として行動」、「さまざまな価値観や考え方を享受」など、新たな価値を創造しているようです。これらの学びの体験は、通常業務でも実践され、大きな変化を産んでいるように感じているとのことでした。吉田さんに具体例を聞いてみると、本務の業務においても、視野が広がる、モチベーションや行動力の向上など、職場内においてもよい影響を与えていると教えてくださいました。また、個人の能力以外にも、『SDGsアクションプログラム』を通して、同じチームメンバがいる担当と業務連携を行う場合は、非常に話が通りやすく業務が円滑に進むなど、”知らない社員同士”が”知り合いの社員同士”になり、挨拶や談話を通じて、社内交流の活性化につながっているそうです。これらの交流があちこちで生まれることで、社内のコミュニケーションが促進され、コムエンジ全体が1つのチームになっていきたいとお話ししてくださいました。
■最後に
本日は、コムエンジ SDGs推進室の吉田さんへインタビューをさせていただき、『SDGsアクションプログラム』について語っていただきました。この取り組みは、社会の課題解決を実現しながらも社員の自己の成長を高めることが読者のみなさまに伝わっていると嬉しいです。このような素晴らしいプログラムが、たくさんの企業、そして、社会へと波及していくようにと願っています。次回は、『SDGsアクションプログラム』に参加されたコムエンジの社員の方々にインタビューをさせていただき、”参加者の生の声”を発信したいと思います。ぜひ、次回の記事も楽しみにしていてください。
〈記事執筆者:林〉