
アフリカ南東部に位置する国、マラウイ。
世界遺産にも登録されている「マラウイ湖」に代表される広大な自然と、独立以来一度も紛争が起きていないという平和な歴史のなかで育まれた、人々の穏やかでホスピタリティ溢れる国民性。
そんな特徴から、マラウイは「Warm Heart of Africa(アフリカの温かい心)」と呼ばれています。
そして日本にとっても、JICA海外協力隊の派遣数が累計2,000名を超え世界1位を記録するなど、ある意味「身近なアフリカ」と言える国でもあるのです。

しかし、その事実が静かに物語っているのは、それだけマラウイが深刻な困難に直面し続けているという現実。
実際、マラウイは「世界最貧国」の一つに数えられ、人間開発指数(HDI)は世界189カ国中174位。国民の50%以上が貧困状態にあります。
急激な人口増加にインフラ整備が追いつかず、5歳未満の子どもの約15%が慢性的な栄養不足に直面。また、電力・ガス不足から、国民の約90%が薪や木炭を唯一のエネルギー源としているため、豊かな森林が急速に失われ続けています。
薪を求めて毎日5時間以上歩く女性や子どもたち。その重労働のために学校に通えない子どもが3割を超え、医療現場では煮沸消毒さえままならない衛生環境があります。さらに、大変な思いをして集めた薪を室内で使うことで、煙による健康被害も発生するなど、私たちが想像する以上に過酷な日常が今もなお続いているのです。


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生活のために、多くの薪を集めなくてはならない

そんなマラウイの地で、Colorbathが活動していること。
それはソーラーボイラーとブリケットという「エコエネルギー」の普及を通じて、人々の命と地球を守る活動です。

ソーラーボイラーは、太陽熱を利用して火や電気を使わずにお湯を沸かす装置。
パンも作ることができるため、それを地元のお母さんたちが売ることで現金収入を得られたり、病院での煮沸消毒を可能にすることで、医療環境の衛生向上に貢献しています。



ブリケットは、おがくずやトウモロコシの芯などの廃棄物を固めて作る代替燃料。
太陽が出ずソーラーボイラーが使えない時でも、薪や木炭に代わる環境に優しい選択肢として、森を守りながら、人々の暮らしと健康を支えることができます。



私たちColorbathがマラウイで積み重ねてきた活動は、昨年のクラウドファンディングを機に、新たなフェーズへと踏み出しました。今回のレポートでは、その後の約半年間に現地で生まれた変化と、これからへの想いをお伝えしたいと思います。
想像を超えた「人の温かさ」:クラウドファンディングの軌跡
2025年8月、私たちは現地へより多くのソーラーボイラー・ブリケットを届けていくため、クラウドファンディングに挑戦しました。

目標金額は300万円。
当初スタッフにとって、それはあまりに高く、遠い壁のように思えました。
そして、支援をお願いすることに、躊躇する気持ちも最初はありました。
それでも、
「微力かもしれない、でも無力ではない」
「1人の100歩より、100人の1歩」
を合言葉に、まずは一人でも多くの人にこのプロジェクトを知っていただこうと、周りの方々に直接お話ししたり、メッセージを送ったり、SNSでの発信したり、オンライン・オフラインのイベントでもお知らせさせていただきました。


多くの人にクラファンの存在を届けました。
そして、そうした活動を続ける中で、驚くべきことが起きました。
なんと、開始わずか6日間で目標の300万円を突破 。
最終的には373名の方から、目標の2倍を超える合計610万円ものご支援をいただくことができました 。

「今までマラウイっていう国は知らなかった、教えてくれてありがとう」
「私と遠い国の困っている人たちを繋いでくれてありがとう」
「ソーラーボイラーやブリケットのアイデア、もっと普及されるべきだと思った」
ここだけでは書ききれないほど、本当に沢山の温かい言葉を掛けていただきました。
Colorbathだけの力では微力であっても、こうして多くの方々と力を合わせることで、より大きな活動につなげていけると実感しました。
改めて、この挑戦を応援してくださった皆さまに、心より感謝申し上げます。
遠く離れたマラウイという国の現状、そして私たちの取り組みを知っていただき、そのうえで温かいメッセージとともに応援していただけたこと。 その一つひとつに大きな力をいただきました。
皆さんから受け取った想いを胸に、これからもマラウイの未来のために歩み続けます。
クラファンが変えた現地の景色:ソーラーボイラー&ブリケットの驚くべき進化
クラウドファンディングを通じて皆さんからいただいたご支援・応援を力に変え、現地の活動は着実に前進してきています。
ソーラーボイラーとブリケット。
それぞれのプロジェクトでどんな変化が起きたのか、お伝えします。
ソーラーボイラー:より丈夫に、より美しく(第4世代モデルの誕生)
これまでマラウイの病院や農村部の家庭で導入を進めてきたソーラーボイラー。
冒頭でもお伝えした通り、太陽光エネルギーを使ってパンが作れたり、病院では煮沸消毒ができるようになったりと、一定の効果を残していました。
しかし、問題もありました。
初期のモデルは全体がアルミ製で、マラウイ特有の激しい雨風に弱く、耐久性に大きな課題を抱えていたのです。
そこで私たちは、現地でパートナーとしてソーラーボイラーの製造・改良に取り組んでいるマラウイトップレベルの農業大学「LUANAR(Lilongwe University of Agriculture and Natural Resources)」のチコンジ先生率いるチームと、改良モデル確立に向けて幾度も議論と実験を重ねてきました。

そうして「二人三脚」で辿り着いたのが、この第4世代モデルです。

従来のアルミ製から、現地で調達可能な強度が高く滑らかな木材を土台に使用することで、雨風への耐久性を大幅に向上させました。機能面でも、太陽の動きに合わせて角度を微調整できるアジャスター機能を搭載。さらに表面にはオイルペイント加工を施し、見た目の美しさと実用性を両立させています。

さらに、マラウイへ視察に来られた長岡技術科学大学の中山教授からも技術的な改善点について貴重なフィードバックをいただき、日本の知見とマラウイの現場力が融合した最新モデルが完成しました。
「多くの人にとって使いやすいものを届けたい」
そんなチコンジ先生の熱い想いと大学チームの誇りが詰まったこのモデル。
既にソーラーエネルギー系の現地ベンチャー企業と共同で、村におけるテスト導入が始まっており、電力を使わずに熱を生み出す技術に現地の人々も興味津々でした。

今後は実際に村の人々に使ってもらいながらヒアリングを通して使いやすさを検証し、より多くの人へ届けていくフェーズへと突入します。

ブリケット:生産&運搬体制の強化
ソーラーボイラーだけでなく、ブリケットプロジェクトも、クラファンを機に大きく飛躍しました。
かつては1台のマシンと2名のスタッフで、1日250kgの生産が精一杯。
さらにはお客さんにブリケットを運ぶ際に使用する軽トラックも故障寸前と、「多くの人たちに届けていく」上での基盤が十分とは到底言えない状況でした。
しかし、クラファン後にはマシンを3台に増やし、スタッフを7名体制へと拡充。
乾燥スペースも大幅に拡張したことで、1日最大1.2トンの生産が可能なキャパシティへと成長しました。

さらに、特筆すべきは「国からの認証(MBS認証)」の取得です。
通常は数年かかると言われる厳しい政府の審査を、現地パートナーのスタンフォードによる粘り強い交渉の結果、わずか半年で勝ち取りました。
これにより、ブリケットは国が認めた「正式な商品」として、ホテルやスーパー、法人顧客へ自信を持って販売できるようになったのです。
また、新たに購入した軽トラックが、故障の不安なく大量のブリケットを街中へ配送しています。


今後は、需要が供給を大幅に上回っている現状に応えるため、「データ管理」と「乾燥スペースの拡大」に力を入れていきます。
生産量・乾燥日数・在庫量などをデータ管理すること、そして乾燥スペースをさらに広げるための土地の拡張を進めていくことで、今ある生産体制を効果的に活用できる状態を作っていきたいと思います。
その先に、「多くの雇用を生み出しながら、現地の人々に沢山のブリケットを届ける」そんな未来が待っていると信じています。
若者の熱狂が国を変える:SIFA 2026の開催
ここまでご紹介してきたように、ソーラーボイラーやブリケットは現地に根を張り、着実に広がり見せ始めています。
一方で、私たちが長年痛感してきたのは、マラウイの若者たちが抱く「圧倒的な熱意」と、それを具体的なアクションへと繋げる「場」の不足でした。
アイデアはある、情熱もある。しかしそれを形にする機会や繋がりが圧倒的に足りない——そんな現実が、現場を歩くたびに見えてきました。
その課題に応えるべく開催したのが、若者支援のためのビジネスカンファレンス「SIFA(Social Innovators Forum Africa)」です。

苦闘の末に手繰り寄せた「共創」の舞台
SIFAはColorbath、NTTドコモビジネスエンジニアリング、現地パートナーのNsona Entreprises、リロングウェ大学の4者が連携し、「国やセクターの垣根を越え、マラウイの優秀な若者から起業家を排出する」ことを目指して準備を進めました。
しかし、その舞台裏は決して平坦ではありませんでした。
現地プロジェクトリーダーの島村(のりぴー)は、開催1ヶ月前になっても登壇者・スポンサーが決まらず、参加応募も伸び悩む苦しい日々を過ごしました。
企業や大学を一件ずつ訪問し、電話をかけ続ける泥臭い毎日。
それでも「SIFAがマラウイの未来を創る」という強い想いが、少しずつ現地の人々の心を動かしていきました。
大盛況となったSIFA当日
そして迎えた当日、会場は島村が1ヶ月前に抱えていた不安を吹き飛ばすような熱気に包まれました。官民学のあらゆる分野から約350〜400名が集結し、会場はその熱量で満ち溢れていました。

まず、オープニングでは資源省の大臣が登壇し、「若者は開発の傍観者ではなく、発展の中心にいる。あなたたちこそが変化の担い手だ」と力強いエールを送り、若者たちの心に火を灯しました。

ビジネスコンペ「MFEC(Malawi Future Enterpreneurship Challenge)」では、厳しい審査を勝ち抜いた9名の若き起業家たちが登壇。優勝した「Malawi Online Museum」をはじめ、いずれもマラウイの未来を見据えたフレッシュな提案ばかりでした。
登壇した学生の一人が語った
「今回のイベントは様々な組織がボーダーを超えて集まるというとても意義のあるイベントだった。こうしたイベントはこれまでマラウイにはなかった。このようなプラットフォームがあることで、私たちはすべての力を結集して、個人としてだけでなく、国として成長できるのだと思う。」
という言葉は、まさに私たちがこの場を通じて実現したかった景色そのものでした。

彼らの挑戦は、またここから広がる
午後のパネルセッションではICT・観光・農業の3テーマで政府高官や企業CXO、国際機関職員らが登壇。LUANAR副学長の「イノベーションとは、なぜ物事が現状のままなのかを問うことから始まる」という言葉が会場に響き、参加者との深い対話が生まれました。

会場からも沢山の質問が寄せらた
また、ネットワークラウンジでは1on1コーチングを終日実施し、若者たちが第一線のビジネスパーソンから直接学ぶ機会が生まれました。

大志を抱く学生たちの真剣な姿
日本・マラウイ計11社が出展したブースエリアでも、学生たちが英語で果敢にビジネスを売り込む姿と、それに真剣に向き合う日本のビジネスパーソンの姿が印象的でした。「支援」を超えた、対等な国境越えの交流がそこにはありました。



私たちの旅は、まだ進化の途中にあります。次回はさらに規模を拡大し、より多くの出会いと機会が生まれる場へと発展させ、マラウイからアフリカへ、そして世界へインパクトを届けるフォーラムへと高めていけるよう、これからも現地とともに歩みを進めてまいります。


終わりに
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
こうして私たちの活動に関心を持ち、マラウイという遠い国の「今」に目を向けてくださること自体が、私たちにとって大きな励みになっています。
昨年のクラウドファンディングでは、373名の方々から目標の2倍を超えるご支援をいただきました。その一つひとつの応援が現地での活動の原動力となりました。
最新モデルのソーラーボイラーが村に届き、ブリケットが国の認証を取得&多くの生産を可能にし、SIFAに350名が集いました。確かな変化が生まれました。
それでも、まだまだ発展途上です。
マラウイでは今なお、何百万人もの人々が十分な燃料のない生活を送っています。
もっと多くの人に、ソーラーボイラーを、ブリケットを届けたい。
若者たちの熱意をアクションへと繋げる場をさらに広げたい。
その想いは、現地を歩くたびに強くなるばかりです。
微力なことでも続けて、広げていくことで大きな力になる。セクターや国境を越えたより多くの連携と協力を生み出しながら、現地の人々とともに一つひとつ粘り強く前進していく。それが、私たちColorbathのこれからです。
ブリケットやソーラーボイラーという「現場での一歩」と、SIFAという「社会を動かす仕組み」。
この両輪を回しながら、国や人種といったボーダーを超え、対等なパートナーとして共に成長していく未来を創っていきます。
想いをカタチに、未来をつむぐ。皆様に支えられ芽吹いたこの「共創の波」を、より大きく豊かなものへ。
これからも、この国の未来を共に創る仲間として、一緒に歩んでいただければ幸いです。



ご案内・Colorbathについて
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