【現場から学ぶSDGs探究】有馬高校とネパールの交流プログラムを実施しました

昨年11月〜1月の3ヶ月間にわたって、神奈川県立有馬高等学校の1年生とともに、ネパールの日本語学校の学生に対して、日本語を教えてみるという交流プログラムを実施しました。プログラムには約30名の生徒が参加し、全3回にわたって、将来日本で働くことを目指し、日本語を勉強中のネパール人との交流を行いました。

有馬高校さんとの出逢い

有馬高校さんとの出逢いは、昨年春ごろに公益財団法人かながわ国際交流財団(以下、かながわ国際交流財団)から紹介いただき、6月に1年生の総合学習の一環で講演の時間をいただいたことがきっかけでした。有馬高校の1年生約300名を対象に、Colorbathスタッフの那波多目さんが国際協力やSDGsをテーマに講演を行い、その中でネパールの現状だけではなく、私達の活動についても紹介させていただきました。

そのご縁がきっかけとなり、講演終了後には有馬高校の杉原先生より「SDGsをテーマにした総合学習をする際に、現地のネパール人と交流するようなプログラムを作りたい。」とご相談いただき、今回のプログラムを一緒に作り上げていくこととなりました。

リアルタイムにオンラインで日本語を教える難しさ

今回のオンライン交流は全3回。(当初は4回の予定でしたが、より有馬高校の生徒さん同士の学びや準備を深めるために、1回はColorbathスタッフとのオンラインワークショップの時間となりました)

1組〜8組までがそれぞれ約4名のグループとなり、「日本語を勉強するネパール人に対して、日本での生活習慣(食事や箸の使い方、四季や曜日の読み方、季節、メイクアップ等)を教えてみよう!」をテーマに会話型の日本語を用いた双方向型の交流を行います。

はじめてネパールの人と話をする生徒さんの様子


有馬高校の生徒さんは、事前にネパールの現状を調べたり、自分たちが教えたいトピックをスライドや手書きのイラストなどで伝えやすい用に準備し、オンライン上でネパール人に対して日本の文化やマナーについて説明していました。しかし、最初の頃は、緊張や恥ずかしさもあったり、準備したことを一方的に話して沈黙が続いたり。

相手がどこまで理解しているのか、どんな日本語の単語が難解なのかを把握するのに苦労するグループも多く、円滑なコミュニケーションが実現できずにいました。普段自分たちが何気なく使っている日本語は、「教科書的日本語」ではないため、ちょっとした言い回しの工夫をしてあげないと、なかなか伝わりません。また、言葉だけでのコミュニケーションではネットの影響も受けるとより対話のキャッチボールがしづらくなってしまいます。

そこで、第3回目の授業では、急遽予定を変更。当初はネパール人とのオンライン交流3回目を行う予定でしたが、Colorbathスタッフがワークショップ形式でオンライン授業を行いました。まずは、日本人同士の学びを深める時間とするために、ロールプレイングの時間を設け、実際にネパール人にとってどのような説明が難しいかを体験するワークショップを実施。生徒たちは相手の立場に立って考える大切さを学び、準備した内容だけではなく、相手に寄り添ったコミュニケーションを柔軟に対応しながらとっていくことが重要であると実感している様子でした。

最後のオンライン交流会では、他の班が行っている伝え方や工夫点を真似したり、自分たちの班でアレンジしながら伝える様子も見られました。回を重ねるごとに、「幼児でもわかる日本語をあえて使ったり、ジェスチャーを用いたり、質問から話を広げていくために疑問を投げかけたり、自分の話をしていく」といったポイントを掴み、生徒さんたちのコミュニケーションスキルも向上。少しずつですが、互いに「通じ合う」瞬間が増えていき、笑顔あふれる時間となっていました。

写真や簡単な日本語を使いながら日本の食文化も伝えていく

コミュニケーションの本質を学び、アイデアに落とし込む

ネパール人との交流を終えた有馬高校の生徒さんは、各グループで今回の交流から学だことを改めて整理し、そこから自分たちができることを軸に企画を考え、プレゼンテーションを用いながら発表会を行いました。

実際に交流を通して、自分たちが感じたコミュニケーションの課題やネパールの方々の不安を解決するために、言葉や文化の違いをゲームで学べる「SDGAME」というすごろくゲームの開発や、食事マナーについてのピクトグラムを考案し、ポスターにしたり、日本に向かう飛行機の中でその映像がみれるようにする、などといったアイデアも考案してくれました。

自分たちの学びとアイデアについて発表する生徒さん

交流に参加したネパールの学生たちからは、サプライズで有馬高校生に対する感謝の動画をプレゼント。その動画をみた生徒さんからは驚きの声と、喜びあふれる拍手が! 自分たちに向かって拙い日本語で一生懸命に感謝や嬉しさを伝えるネパールの学生の様子をみながら、戸惑いながらも行ってきた交流が、ネパールの方々の未来に、希望に対して貢献することができたんだ!という実感を、より持っている印象でした。

ネパール学生からのThanks動画サプライズ

おわりに

今回のオンライン交流授業は、日本人とネパール人双方にとって学びと発見の機会となっていることを私たちも間近にみることができ、とても楽しく充実した時間でした。「日本語や日本文化を教えたり、紹介する」というテーマに基づいて交流したことによって、単に知識や情報を伝えるのではなく、相手の気持ちに寄り添いながら、異文化理解を深め、臨機応変に対応していく大切さも実感してもらうことができました。この経験が、今後の彼らの身の回りに起こる海外の方との交流や、日常のコミュニケーションにおいても、きっと役立つものになると信じています。

Colorbathでは、これからも様々な人の想いをカタチにし、生徒たちに一歩踏み出す機会を提供するため、オンライン交流やフィールドワークなど、さまざまな取り組みを企画・実施しています。

今回の企画を行うにあたって、温かいご支援をいただいた有馬高校のみなさまに心より感謝いたします。今後も、日本人、ネパール人をはじめ、さまざまな文化・背景を持つ人々が互いに学び合い、理解を深めながら未来をつむいでいくお手伝いができれば嬉しいです。
(Colorbathスタッフ:椎木、那波多目)