
2月27日、「世界とつながる第一歩!」をテーマに、マラウイのジアンボ先生、ウォンガニ先生を迎えた教育イベントを開催しました。日本とマラウイ、それぞれの教育のあり方を共有しながら、これからの“グローカル”な学びについて考える機会となりました。
日本の教育に対する驚きと関心
ジアンボ先生が日本の学校を訪れた際、最も驚いたのは、子どもたちが自主的に行動している姿でした。授業の移動の際には、自分たちで整列し、時間通りに授業が始まる。先生が不在でも、子どもたちは次に何をすべきかを自ら考え、行動している。その姿勢に驚きつつ、「どうやったら、こんな子どもたちが育つのか」と興味を持たれていました。また、先生や年上の人へのリスペクトが日常的に根付いている点にも感心されたそうです。
一方で、日本の先生からは、「確かに日本の学校では、子どもたちが自主的に行動しているように見えるが、実はシステムがしっかりと作られていて、その流れに従って動いている部分もある。必ずしもすべての行動が本質的な“考えて動く”ことにつながっているわけではないかもしれない」との意見がありました。体育の授業では、係の子が全員を並ばせ、移動し、準備体操まで進めるなど、明確なルールが存在します。ジアンボ先生の視点を通して、日本の教育の強みと、改めて考えるべき点の両方が見えてきました。

マラウイの教育からの学び
今回のグローカルプログラムの訪問先となった菊川小学校では、日本の先生方もマラウイの教育から新たな気づきを得たそうです。「日本では、課題を抱える生徒のことを“プロブレム”と表現することがあるが、マラウイでは“チャレンジ”と表現する。」この捉え方の違いが、とても素敵だと語ってくれました。マラウイでは、インクルーシブ教育が進められており、クラスや学校を分けることなく、すべての子どもたちが共に学ぶ環境が整えられています。
また、マラウイやネパールからのゲストに対して、日本の子どもたちが積極的に関わる姿を見て、先生方も子どもたちの新たな一面を発見したそうです。
子どもたちの気づきと成長
菊川小の児童たちの振り返りでは、「もっと英語を話せるようになりたい」といった前向きな声や、「英語が話せなくても伝わった」という気づきがありました。海外の友達ができたことが、意欲にも繋がり、また、抵抗感をなくすことなど、この出会いにも様々な学びが詰まっていたのだと感じました。
一方で、日本に来たマラウイの生徒たちも変化を感じたようです。日本に来たチムニーは、マナーを意識し、時間通りに行動するようになったそうです。そんな彼女の変化が周囲の生徒にも影響を与え、変化の輪が広がっています。さらには、他人に共感し、寄り添う姿勢も日本から持ち帰ったと、ジアンボ先生は語ってくれました。
また、今回の訪問を通じて、ジアンボ先生自身の指導にも変化が生まれたと言います。以前は「うるさい」「静かにしなさい」と注意していた場面で、今では「周りを見てごらん」「一人が騒がしくなると、みんなも徐々に騒がしくなるね」「周りに気を配った行動をしよう」といった声かけに変わったそうです。日本の教育のあり方を目の当たりにすることで、指導の方法を見直すきっかけになったのです。

未来への一歩
ジアンボ先生は、「日本とマラウイでは、設備の違いなど、すぐには変えられない違いがある。しかし、教育のシステムやコミュニケーションの取り方など、お金をかけずともすぐに取り入れられることはたくさんある」と語ってくれました。
今回のイベントを通じて、私自身も日本の教育システムの良さを再認識するとともに、本当の意味での“子ども主体”とは何かを考えるきっかけとなりました。そして何より、ジアンボ先生の日本へのリスペクトと、教育への向上心から大きな刺激を受けました。
何かを提供することや丁寧に準備をしたものを見せることももちろん学びになりますが、ただ“出会うこと”や“知ること”こそが、より深い学びにつながるのではないか。受け手によって、学びがどんどん大きくなるのではないか。今回のイベントを通して、改めてそう感じました。今回は大人(先生)の視点で“グローカル”について考えましたが、きっと子どもたちも同じように、この経験を通じてそれぞれの想いを抱いたのではないでしょうか。
この対話が、未来の教育をつくる一歩となることを願っています。
Colorbathスタッフ:渋谷