こんにちは!NPO法人Colorbathの隅谷です。先日12月1日(土)に「Web交流と世界のつながりを」を開催しました。あまり日本の学校現場では馴染みのない活動でもある「Web交流」。一体どんな交流を行なっているのか、皆さん気になりませんか?今回は、その当日のイベント様子をたっぷりとお伝えします!
これまでの取り組みとは少し違った角度から…
Colorbathでは、これまでに中高生を対象としたWeb交流を実施してきました。日本と海外の教室をインターネットでつなぎ、同世代の子どもたちがリアルに交流できる機会は私立学校だけでなく、公立の学校でも授業の一貫として取り入れていただいてきました。
しかし、今回は、「中高生だけでなくもっと多くの人にWeb交流を知ってもらい、世界と繋がる楽しさを実感してもらいたい」という想いから、団体初の試みとして、一般の大学生や社会人向けとして開催しました。
Web交流って一体どんなものなんだろう?
インターネットの画面上でどんなふうに交流するの?
お互い上手く意思疎通はできるかな…?
当日は、参加者の皆さんはそれぞれちょっとした不安や疑問を抱きながら会場に足を運んでくださいました。
Web交流のはじまりは「国当てゲーム」から

今回はアフリカ東部に位置する ”マラウイ” の中学生との交流。ドキドキしながら画面を覗き込む参加者のみなさんは、マラウイの生徒30名が教室で座っている姿が画面に映し出され、「コンニチハー!!」とのマラウイ側からの日本語の挨拶に、大きな歓声をあげ、拍手喝采。そんな日本側の様子にマラウイの生徒たちも安心したように笑顔で、そして必死に大きく手を振ってくれました。
はじめに、「日本側がつながっている相手がどこの国の人か」を当てるゲームをしました。実は、日本側の参加者の皆さんは、Web交流を始める前、どこの国とつながるか知らされていませんでした。
“What time is it now in your country?”
“What is your mother language?”
“What is your staple food?”
“Does your country have the ocean?”
“What color is your flag?”
国を当てるための英語の質問を参加者自らが考え、一人ずつ相手に投げかけていきながら、地域を絞り、最終的にどこの国とつながっているかを当てていきます。

マラウイの生徒たちは、にやにやした表情を浮かべながらも日本からの一つ一つの質問に対し、積極的に手を挙げて答えてくれました。
そんな生徒たちからの答えを必死でメモを取ったり、次に何を聞こうかと相談し合う参加者の表情からは、少し緊張しながらも、「早く質問して国を当てたい」という興奮が伝わってきました。そして、開始から約10分後…最終的にはネット検索の助けもありましたが、参加者の一人が“Is your country Malawi?”と聞き、画面に映る生徒たちが一斉に”YES!!”と叫び、国を当てることることができました!当てることのできた参加者からは大きな歓声があがりました。
友達になる第一歩は「名前を知る」こと

次は、お互いに自己紹介を行います。
Web交流の中で大切なことは、まず互いの名前を知り、名前で呼び合うということ。
電波の関係で相手の名前を聞き取ることが難しい場合は、名札をつけて見せあいながら自己紹介すると、自分の名前をスムーズに相手に理解してもらえることができます。
今回の交流ではマラウイの生徒のみなさんが、大きな名札をつけてくれていました。これは、事前にマラウイ側の先生が準備してくれていたものでした。そのおかげもあり、マラウイには約30名もの生徒がいるにも関わらず、参加者は国当てゲームで質問に答えてくれた生徒の名前をすでに覚えていたり、マラウイの聞き慣れない英語の名前にも「素敵な名前だね」などと言いながら、生徒一人一人の自己紹介に温かい拍手とコメントで返答をしていました。

自己紹介の時間は、手に取るようにその子の想いが伝わってくる瞬間でもあります。
画面の前に立ち、自分の名前と学年を堂々とした声で言う生徒もいれば、文章を終わらせる前に画面の端へと消えていってしまうシャイな生徒もいます。それでも勇気を振り絞りながらパソコンの前に立ち、相手に「自分の言葉を自分らしく伝える。このほんの数十秒の時間が生徒にとってはかけがえのない時間にもなる瞬間でした。
誰にとっても身近なテーマで対話を楽しむ

次のアクティビティは、対話を通して「お互いを知ろう」というもの。
誰にとっても身近である「学校生活にまつわるキーワード集」をもとに、相手国の学校について知りたいこと、興味のあるテーマを表の中から選び、自分たちで英語の質問に置き換えながら、互いに質問を投げかけます。

“How long do you study at home?”
“What does your school uniform look like?”
“What is the most popular sports club?”
日本の制服について答えるときは、インターネットで検索した写真を見せながら説明し、「みんなの制服と少し似てるね」と話し合いました。また、マラウイで人気のスポーツ「ネットボール」については生徒だけでなく、マラウイ側の先生も身振り手振りしながら必死に説明してれました。
”楽しい”空間に言葉はいらない

対話のアクティビティ後にはマラウイの生徒によるスポーツ、歌や演劇のパフォーマンスがありました。日本人にはとてもできない高さでのゴム跳びに驚かされたり、HIVの予防啓発の演劇には、日本との文化の違いを感じました。「次はいったい何をしてくれるのだろう」と、日本側の参加者全員の目線が画面に釘付けになっていた様子は今でも忘れられません。
マラウィからのパフォーマンスの後には、日本からも歌をプレゼント。
「ネット環境がある地域であれば、全世界で大ヒットしたピコ太郎のPPAPを知ってるかもしれない!」という参加者の意見から、全員でPPAPを踊りと一緒に大熱唱しました。
全員テンションマックスで歌い終わり、画面を見てみると、生徒全員がポカーンとした顔でこちらを見ていました。この表情を見て、「やばい!みんな知らなかった!滑った!!」と全員が慌てるのを見て、マラウイ側にも笑いが湧き起こりました。
「知らないのであれば、一緒にやってみよう!」マラウィの生徒と一緒にPPAPに挑戦。
生徒たちは自分たちが何をしているのか理解できていないようでしたが、もしかしたらこれがはじまりとなってマラウイでもPPAPが流行るかもしれませんね☆

交流の最後には、日本側から “What is your dream?”という質問がありました。
生徒達からは “Nurse”, ”Lawyer”, ”Teacher”などとそれぞれの夢を語ってくれました。ネットを通して初めて出会ったばかりの生徒たちでしたが、これからの将来を心から応援したいと参加者全員が強く感じた瞬間でした。
世界の教師トップ50の堀尾先生

マラウイとの交流後には、スペシャルゲストとして滋賀県立米原高校の堀尾美央先生がオンラインでイベントに参加してくださいました。堀尾先生は、Web交流活動を学校の教室に取り入れて実践してきたことが評価され、世界の優れた教師を選ぶ「The Global Teacher Prize 2018」のトップ50名に選ばれた、全世界が大注目している教師の一人です。

Web交流の教育現場での実践においてトップを走る堀尾先生は、これまでの活動で苦戦してきたことややりがいについてお話ししてくださいました。現在の日本の学校現場では、まだまだICT化を取り入れることが難しい状況があります。堀尾先生がWeb交流を始めた当初は、学校のネット環境を利用することが困難であったため、自身のWifi端末を活用しながらWeb交流活動を行っていました。
しかし最近では、山間部や離島にある小規模の学校でWeb会議端末を導入して行う遠隔合同授業が文科省の取り組みとして進んでいるなど、少しずつ学校現場でのICT活用の波紋広がってきています。「Web交流もこのICT普及の波に乗って全国に広がっていって欲しい。」堀尾先生はそう語ってくれました。
おわりに

今回のイベントを通して、Web交流とは中高生の成長だけでなく、どんな人にでも新たな気づきやワクワクを与えてくれるものだと確信しました。そして、交流の楽しさや海外とつながる喜び、英語で相手に想いを伝えたいという姿勢は大人になっても変わらないものだと感じました。
参加者のみなさまからイベントを終えた後、
「アフリカに対する考え方が、自分の中で大きく変わった。」
「Web交流には新しい学びがたくさんあり、そしてなにより、すごく楽しかった!」
「自分の子どももぜひ次回は連れてきます!」
など、みなさん興奮気味で感想を伝えてくださいました。
Colorbathではこれからも多くの方と繋がり、様々なイベント開催を通して「楽しいというワクワク」提供し、新しいことに挑戦していきたいと思います!
「Web交流と世界のつながりを」に参加いただいた皆様、本当にありがとうございました!