2022年1月19日、慶應義塾大学総合政策学部・太田深月さんとColorbathスタッフ・椎木睦美が対談をおこないました。
テーマは、「国際協力と主体性」
ネパールとマラウイで、衛生環境の向上や雇用創出などのプロジェクトに取り組むColorbathですが、活動していく中では、「国際協力」というキーワードや、そのみられ方に違和感をいだくこともあります。

「どうすれば、日本にいる私たちと現地にいる人たちの強みや主体性を活かしていけるのだろう」という太田さんからの問いは、私たちも日々向き合い、取り組んできたものでした。

それぞれの専門性やこれまで歩んできた人生が交錯し、とても意味のある対談の時間になったと感じています。

今回の記事は、その対談を文字起こし、まとめたものです。
みなさんともぜひ、「問い」と「一歩踏みだす勇気」を共有したいなと思います。

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模索し続け、引き寄せられる

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椎木
太田さんが海外に興味を持ったきっかけはなんでしたか?
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太田
もともと、幼少期の5年間くらいをアメリカで過ごしていたんです。
そのルーツがあったことで、中学校の社会学習、高校での総合的な探求で難民問題に関心を持って、ウガンダの農業などについて自分なりに調べたりしていましたね。それで、現場を見たことがないから、大学では行きたいなと思っていたのが一つありました。

ただ、実は海外に行きたい!と切実に思っていたかというとそういうわけではなくて。
国際協力分野からはいったん離れてみようという気持ちもあったんですけど、模索し続けたら結局引き寄せられてしまったみたいな感覚ですね。
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椎木
それは、使命感とかですか?
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太田
使命感ではないですね。たぶん、2つあります。

1つは、人生レベルの軸として、人間の葛藤や、分かり合えなさに興味があること。
お互いの正義がぶつかり合ってしまう、少年漫画とかも好きですね(笑)。

国際協力の現場でも、仕組みとして、現場とその上がせめぎ合ってしまうというのがあるのではないか。お互い想いはあるのに、もったいないなと思っていて。
アカデミックな方向から立場をつないで貢献できたらいいなと考えています。

あとは、出会い、面白いなと感じる人が国際協力のフィールドで働いている人が
多かったりと、追い風を感じる機会も多かったんです。

個人的関心と追い風がぴったりあって、今に至るという感じですね。
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椎木
素敵ですね。

人間の経験って人によって違うけれど、その経験の中で学びを自分のものとして吸収するかどうかって、人によると思うんです。太田さんの場合は、幼少期を含めたいろんな経験を味わって、自分のものに、自分の学びしてきて今があるんだろうなと。その一連のつながりから、すごく自己理解されてるんだなって思いました。

これまでに対して恩返しをするといったら大袈裟かもしれないですが、自分が得た学びに、また新たな学びを積み重ねたり、転換したりすることが、「いまの自分」にできる社会還元の形なので、こうやって行動に起こされていて、素晴らしいことだなと思います。
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太田
ありがとうございます。
椎木さんは、青年海外協力隊でマラウイに行ってらっしゃったんですよね。
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椎木
実は私も、人との出会いから始まっているんです。

もともとは、山口で生まれ育って、海外を身近に感じる機会は少なく育ちました。でも、知らないことや誰もやっていないことに対する知的好奇心が強いタイプだったので、たまたま外国の人に出会ったことをきっかけに、海外に興味を持ったのが、小学生くらいからですね。

中学生のころまでは、海外に関われる仕事ってキャビンアテンダントや通訳くらいしかイメージできていなかったのですが、本やテレビで、女性でも日本以外の国に行って活動している人たちの姿を見て。周りにそういう人もいないし、やってみたいなあと思って大学に入りました。

大学でも面白い出会いがあって。ある先生が、かつて協力隊でシリアの方にいかれていたというのを自己紹介で言ったのを聞き逃さず、話を聞きに行ったんです。それをきっかけに、フィリピンやインドで教育に関わる活動をしていました。

こうして人との出会いに導かれて行ったので、まさか協力隊でアフリカに2年住むことになるとは。思ってもみなかったですね。
派遣前訓練を修了したとき

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