2023年1月31日、第1回「アンコンシャス・バイアス大賞」の授賞式をおこないました。
ご応募いただいたエピソードを紹介したあと、印象に残った作品や、読んだことで引き出された自分自身の経験について参加者のみなさんとディスカッション。
最終的に、3つの部門での大賞と、総合「大賞」を決定しました。
本記事では、当日の様子をレポートするほか、後半で大賞の受賞作品を紹介します。

「大賞」をはじめた理由

まず最初に、吉川から「アンコンシャス・バイアス大賞」設立の理由についてお話ししました。

日々、日本・ネパール・マラウイの3か国を拠点に教育事業・ソーシャルビジネス事業に取り組んでいるColorbath。現地の人にとって持続的なビジネスモデルを考え、実践者として活動を続けることだけではなく、日本のみなさんに「学び」や「想い」をシェアすることにもこだわりを持っています。

今日、何かを言葉にしたりカタチにする。
それを毎日、1か月、1年、10年と積み重ねていったら、それが「未来」「社会」を創っていくことにつながると思うんです。

今回、みなさんから寄せていただいたエピソードは、どれも日々抱いたもやもやと向き合ったり、発見を見逃さずに言語化したりしたプロセスが詰まった、とても素敵なものばかりでした。

第1回では終わらせず、長く、地道に続けていきたいという想いを、参加者の方々と共有しました。

心地よい「余韻」

次に、応募のあったエピソードの一覧を、その場にいる全員でみながらトーク。

「この表現が好きだなぁ」

「一つの発見からここまでつなげられるのってすごい」

「そういえば私も・・・」

誰かが話し、頷くと、数秒間の沈黙がオンライン空間を満たします。

けれど、不思議と気まずくはなく、心地よい「余韻」を共有しているような感覚になりました。

「当たり前が変わる」という重要な瞬間をエピソードを通して追体験していると、それぞれの頭の中でも、過去経験したこと、感じたことが次々とつながり、新しい当たり前がつくられていきます。

この「余韻」は、違いのある他者の話に耳を傾け、受け止め、自分の世界を広げていく過程なのだと思います。とても豊かな時間でした。

「第30回」に向けて…

参加者の方々からは、

「生きていればみんな哲学者なんだなという気づきがあった」

「脳の中に温かさが広がりました」

などの感想が寄せられ、「次回もぜひ開催しましょう!」と機運が高まっていきました。

また、グローバルに活動しているColorbathだからこそ、英語バージョンでも実施してみたいねという意見も。言葉選びや「アンコンシャス・バイアス」の捉え方から違いや共通点がありそうで、今からとても楽しみです。

また、今回「大賞」を選ぶことができたのも、何を応募すればいいのか…と迷いながらも、勇気を出して一歩踏み出してくださったみなさん、見守ってくださっていたみなさんのおかげです。

本当にありがとうございました。

次回開催は…なんと、2ヶ月後の4月!

受賞作品の紹介

最後に、今回の受賞作品をご紹介します。みなさんもぜひ、「当たり前が変わる余韻」を味わいながら読んでみてください。また、受賞者の方々にはインタビューも行っています。記事の公開もお楽しみに。

総合部門「大賞」清水良介さん(マラウイ)の作品

おずもなラジオ、YOH、いつも楽しく拝聴させて頂いております。
私は、アフリカ・マラウイの首都リロングウェで働いています。
オフィスの周りには、ストリートチルドレンがいて、私を見つけるといつも悲しそうな顔で「お腹が空いているからお金がほしい」と声をかけられていました。
私はここで働いているので、一度お金をあげてしまうと、お金をくれる外国人としてすぐに顔を覚えられてしまい、ずっとお金をあげ続けないといけなくなると思い、目も合わせずにいつも冷たくあしらっていました。

ある日、オフィスの外で休憩をしていると、2人のストリートチルドレンが私に近寄ってきて、いつものように悲しそうな顔で「お金をちょうだい」と言いました。
私はその日、なぜか彼らと話してみたい気持ちになり、彼らの名前や年齢を聞いたり、住んでいる場所や学校の話をしました。
それからバナナ売りのおばさんからバナナを3本買って、彼らにも1本ずつあげました。するとひとりの子が「バナナはいらない。バナナを食べたらもっとお腹が空いちゃうから。」と言い、もうひとりの子が2つ食べました。「え、お前、2つ食べたの?1人1つなのに!」と冗談を言うと、「もう食べちゃったもん!」と言って笑っていました。
その日の夕方、バナナを食べなかったもうひとりの子が私を見つけると、「さっきバナナを食べなかったから、その分のお金がほしい」と言ってきました。
私は「自分はバナナはあげるけど、お金はあげないよ」と言うと、「わかった!じゃあまたね!」と言ってどこかに行ってしまいました。

私は間違ったことをしてしまったのかもしれないと思いました。
しかしその次の日、彼らが私を見つけると遠くから笑顔で「ボス!」と言って、走って近寄ってきて、また少し世間話をしました。彼らは私に「お金ちょうだい」とは言いませんでした。
私が彼らの名前を呼ぶと「名前覚えてくれていたんだ!」と、とても嬉しそうにしていました。
彼らが友達のストリートチルドレンを連れてきて、私に紹介してくれたりもしました。
私と彼らは、”外国人”と”ストリートチルドレン”の関係から、”歳の離れた友達”のような関係になりました。

私は、日本でも年下の後輩にはご飯を奢りたくなってしまいます。
彼らにも、お腹が空いているなら何か食べさせてあげたいと思うようになりました。
物を与えてばかりでは、彼らの根本的な問題は解决しません。
でも、彼らにだって、外国人で奢りたがりの年上の友達が1人ぐらいいてもいいんじゃないかと思うようになりました。
自分のこれまでの考えが大きく変わった瞬間でした。
自分が正しいことをしているとも、いいことをしているとも思いません。
ただ、自分のことを慕ってくれる年下のかわいい友達ができたことが嬉しく、その日から彼らに会うのが楽しみになりました。

社会メッセージ部門「大賞」まめさん(北海道)の作品

私のアンコンシャス•バイアスは「休憩時間、残業、休暇の捉え方」です。私は休憩とか休暇に怠惰なイメージがありました。なので、特に大学院生の時は、休日ってなに??みたいな感じで、毎日朝から晩まで研究室に篭っていました。今考えると、ひたすらやることで安心感だったり、やってる自分に酔っていたんだと思います。

大学院卒業後、会社に勤め始め、10時と15時にみんなでお茶する時間と18時以降の帰宅後の時間、休日が出来ました。でも、仕事以外の時間も仕事したいなー、というか、すべきなのかな?と思ってました。ですが、上司に「休憩する時は休憩する!そして、仕事の時間になったら集中してやる!残業したり、休憩時間を使わなくても仕事が終わるように効率よく進める!そして、休日には本を読んだり、色んな経験をした方が、後々仕事の為になるし、人生が豊かになるよ!」とアドバイスをいただきました。

確かに、休憩時間に上司や先輩と会話することで、コミュニケーションが取りやすくなって仕事する時に円滑になったり。休日に農家さんのところに行ったり遊ぶことで、いろんなアイデアが浮かんだり。なにしろ愉しく仕事に取り組めるようになりました。

今まで社会人って窮屈なイメージがありましたが、北海道の広い大地でのびのび生活や仕事ができるって、最高に愉しい!!!

行動変容部門「大賞」みきティさん(ウィーン)の作品

アンコンシャス・バイアス大賞、面白そう〜と思って、何かあるかな?って考えているときに、初めは「応募するようなものはないなぁ」と思っていました。

しかし、オズモなラジオを聴いていていた、ふと分かったのです。応募するようなものがない=何か賞が取れるようなものがないと考えていたのではないかと…。こういったものに応募するときは、賞を狙いに行くんだけど、賞を狙うと取れなかった時に、がっかりしたり、落ち込んだりするので、次への意欲がなかなか湧かないという循環に陥っているのではないかと…

賞を取るとか取らないとかそういうものではなく、自分の足跡を辿ったり、振り返ったりして、これからの道をよりよくするために、応募していると考えれば楽しくなるんじゃないかという考えに、最近なりました。そう思えてから、今年やってみたいことに、自分なりの教育論文を書くという目標ができました。せっかくなので、自分の目指しているテーマと合致する応募があれば、出してみようと思います。なんか、上手い文章になりませんでしたが、自分の中に小さな芽がぴょこんと飛び出してきたので、ツラツラと書き綴ってみました。

途上国ラベリング部門「大賞」スヌーピー大好きさん(神奈川)の作品

以前は、他国から出稼ぎで日本に来る、仕事がないから自分の街を出て働くということがなんだか遠い国の話のように思っていました。

ですが、ふと地方から出て神奈川に仕事を探して出てきた自分も大きくみれば同じじゃないか⁉︎と気付き、急に会ったこともない他国の方々に親近感が。

ラジオをきいてネパールやマラウイの方々と一緒にできることを考えることが、いずれ自分の街の協力につながるヒントにしていきたいなーと思います。

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